壊れそうなほど。
軽く食事をするにも20分待ち。そのあと2つ乗って外に出れば、辺りにはもうすっかり夜の帳が降りていた。
パレードを観るために移動するも、何時間も前から場所を取った人々で埋め尽くされている。
「わあ、すごい人だ……きゃっ」
「ん、どうした?」
「あっすいません! 大丈夫ですか?」
軽く悲鳴を上げた沙奈に、子連れの女性がペコペコと頭を下げている。どうやらベビーカーを沙奈の足にぶつけてしまったようだ。
「あ、大丈夫ですよー」
沙奈はそう返してこちらに向き直り、「ベビーカーに轢かれちゃった」と可笑しそうに言った。
「そういや、家族連れ多いな」
「うん、いいよね。家族で来るのって」
「だな。おれらも子供連れて来ような」
「…うん、そうだね」
返答に一瞬間があったのは、気のせいか?