壊れそうなほど。

パークのレストランはどこも満席で、食事なんてとてもできそうにない。どこか外で食べることにして、土産だけ買ってパークを出ることにした。

土産屋も人だらけだ。むしろここがいちばん人口密度が高いかもしれない。身動きもやっとな中、おれは会社用に適当な菓子を見繕った。

ところが、沙奈はそれに付き合うだけで、何も買おうとしない。どこかに出かければ、バンドのメンバーには必ず買っていくのに。

「沙奈はお土産いいの?」

「うん、いいや」

どうして買わないのだろう。その理由を探していたら、優輝斗の生意気な顔が浮かんだ。今回、何かイレギュラーがあるとすれば、彼の存在くらいだ。

しかし何故、優輝斗がいると買わない? あいつが沙奈を好きだから?

いや、それは理屈に合わない。もしおれなら、気のない相手には彼女の存在をアピールする。

……じゃあ、何故?
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