壊れそうなほど。

電話は佑介くんだったようだ。月曜日にバンド練習を予定していたが、多田くんの都合が悪くなり、急遽明日の夕方に変更になったらしい。

やむを得ない事情とはいえ、おれに一言確認してから返事をしてもよかったのでは……そんな苛ついた考えが頭をもたげ、しかし慌てて首を振った。

今までだってこんなことはあったのに、何をピリピリしているんだ、おれは。

「ほんとにごめんね? わたしボーカルだし、いなくても練習できると思うんだけど、行かないと佑介うるさいからさあ」

「うん、大丈夫だよ。頑張っておいで」

笑顔を向ければ、沙奈も安心したように頬を緩めた。しかし……。

佑介くんとの関係も、今さらながら気になる。やはり仲が良すぎではないのか。今まで気にしないように努めてきたが、家にまで出入りしているとなると話は別だ。

……独占したくて婚約したのに、余計に不安になることばかり起きる。
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