壊れそうなほど。
(12)

いつもの坂を自転車で駆け上がる。冷たい風が顔面に直撃して、顔が寒い、てか痛い。そっか、12月になったんだっけ。もう冬じゃん。そう思ったら手も寒い。宇宙服着たい。

そういえばこの坂、前は自転車を押してたのに、最近いつも立ちこぎ。練習だのライブだの沙奈と待ち合わせだの、いつも時間に追われてるせいだ。急にリア充みたいで俺っぽくない。

……でも、たぶんリア充ではないよね。

沙奈は、俺がPAバイトの日と土日以外は、夜うちに泊まりに来る。一緒にいる時間は最高に幸せ。……彼女がえびす啓吾と電話する15分間を除けば。いい加減、慣れたけど。

啓吾といえば。いつだっけ、2、3週間前にスタンドに来た。チェイサーのツアラーVなんて、金持ってるんだな。

金で勝負されたら勝てない。あと学歴も。

ムカついたから喧嘩売ったけど、相手にされなかった。余計ムカついた。
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