壊れそうなほど。

生ビールで乾杯して、ちょっと多すぎるくらいのつまみを食べながら、とりあえずバンドやら音楽の話。音楽を語り出すと佑介は止まらない。

まあいつも通りだし楽しい。でも、今日の本題は違うでしょ、と心の中でツッコみながら、相槌を打つ。

ビールを2杯飲んで、そろそろ違うもの飲むか、とカラオケのデンモクみたいなメニューを弄っていたら、

「……ところでさ。話変わっけど」

佑介がメニューを横から覗きながら、ようやく切り出した。それにしても距離近い。男二人で座る席じゃない。

「なに? 沙奈?」

「あーうん。……お前、平気?」

「え?」

初っ端がそれで、正直驚いた。だって、まず「男いる女に手出してんなよ」って言われると思ったから。それに俺、嘘ついてたのに。

まじでいいヤツ過ぎて戸惑う。あと、無駄に近い顔がイケメン過ぎる。

沙奈、よく惚れないな……ふとそう思った。
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