壊れそうなほど。
「いや、男いるとか、正直しんどくね?」
「……んー、へーき。彼氏いてもいーって、俺が自分で言ったし」
答えてから、まるで自分に言い聞かせてるみたいだなと思って、思わず苦笑いした。
「まじか!」
「うん」
頷いて、画面のジンジャーハイボールをタップする。佑介が脇から「あ、オレも」と指を伸ばして注文数をひとつ増やした。
「そか。あ、つーか彼氏な! この1年半、ガチで知らなくてさあ。まじびびったわ」
「ふーん。沙奈、なんで黙ってたんだろ」
浮かんだ疑問をそのまま口にすると、佑介は俺から視線を外して、手元のタバコを1本取り出した。
「………………さあ?」
火をつけて、深く吸い込んで、ゆっくりと煙を吐き出したあと、やっと俺に言葉を返す。
……なんか、変な間だったな。ただの気のせいかもだけど。