壊れそうなほど。
「卒業したらすぐ結婚すんだってさ」
「卒業してすぐ結婚? ウソだろ……なんだよそれ」
佑介はそう吐き捨てて、またジンジャーハイボールを勢いよく煽った。あっという間に空になったジョッキをやや乱暴に置いて「日本酒」とぶっきらぼうに言う。
「佑介さ、なんか変じゃね?」
冷酒を注文してやりながら、俺は訊いた。
「変? なにが」
「すげー動揺してね?」
「…………なんでオレが動揺すんだよ」
また変な間が空いてから、へらっと笑った。やっぱり様子がおかしい。
え? ……いやあ、まさかね。
「ね、ね、もしかしてさー、佑介って沙奈のこと好きだったりし…」
「あのさあ、ユッキー」
俺の推理ショーが遮られた。がーん。
なんてふざけた俺とは真逆の、真剣な眼差しがこっちを見つめる。
「オレはね、沙奈が幸せならなんでもいい」
「え」
佑介、それもう、好きって言ってるのと一緒じゃね?