壊れそうなほど。
───気まずい。
佑介は「沙奈が幸せならなんでもいい」とか結構な爆弾を投下したっきり、なんにも喋らない。眉間にシワを寄せて、日本酒のおちょこをくいっと飲んじゃ手酌している。
俺は仕方なく、さっき勢いで頼んだウイスキーのダブルをひとくち舐めてはタバコ吸って、を繰り返す。
……佑介が沙奈のこと好き? そんなの知って、俺どうしたらいいの。
店内を見渡すと、さっきより少し客が減っていて、空席がちらほらあった。俺ら、席移動しちゃダメかな。
佑介は一合空けて、無言で徳利を振ってみせた。頼めってことか。コイツはもともとハイペースで飲むけど、今日はちょっと見たことないくらい早い。
そんなに沙奈の結婚がショックかよ。すげー好きじゃん。
「ねー、佑介さあ」
「……なに」
こっちも向かずにボソリと返事をする。まるでいつもの俺。……わりとめんどくさいな。