壊れそうなほど。
(2)
部室と呼ぶにはあまりにお粗末なプレハブ棟。

広い広い敷地の端っこにあるそこにやっと辿り着いた途端、ポツリと冷たいものが鼻先を濡らした。

サイアク。俺、傘持ってない。

家を出た時に、なまり色の雲が町を押し潰すみたいに覆っていて、さすがに傘を持とうか一瞬迷った。

でもやめた。だって、降らなかったら邪魔なだけだ。まあ、結果降っちゃったけど。

あーあ、練習終わるまでに止まないかな。

ガチャ、と音を立てて目の前のドアが開き、佑介が先に中へ入っていく。

「ユッキー、狭くて汚ねーけど気にしないで。あ、一応ここ土足厳禁な」

彼の言葉通り、8畳くらいのスペースにドラムセットやら機材やらが所狭しと置かれている。え、これ、キーボード置けるの?
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