壊れそうなほど。
はぁ、と小さなため息をついて、俺は彼女に背を向けた。

窓の下に立てかけたケースに手を伸ばして、ギターとエフェクターを取り出し、アンプに繋いで音を調整する。

背後から、マイクスタンドを調整するガチャガチャという音。

プオーン、とマイクが大きくハウった。

「あ、あ……あー、あー、あー」

少し掠れた甘い声が、スピーカーから漏れる。

全身の細胞が、視界の外の彼女を意識していて、どうにかなりそうだ。

頼む、佑介でも誰でもいいから早く来て。

「あ、優輝斗くん」

マイクを通して俺を呼ぶ声。耳から全身に電気が走って、心臓がびくんと跳ねる。

「なに?」

振り向くこともできずに、背中で言葉を返した。

情けなさ過ぎる。俺、こんなキャラだっけ。
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