壊れそうなほど。
「そこのノート、取ってもらっていい?」

「ノート? ……あー」

俺のちょうど目の前、窓のさんに打ち付けた釘に、大学ノートが紐でぶら下がっていた。表紙には太いマジックで『サークル日誌』とある。

「はい」

差し出しながら、少しだけ振り向いてみた。

前かがみで受け取る彼女の、サラッとした髪がノートにかかる。

俺の視線はつい、その髪を辿って、彼女の顔を捉えてしまう。

ばっちり目が合って、彼女がまた戸惑ったように褐色の瞳を揺らした。

なのに、ぜんぜん目を逸らしてくれない。少し困ったような顔で、こちらをじっと見つめてくる。

顔がかあっと熱くなっていくのがわかって、慌ててギターに視線を落とした。

ダメだ、心臓が持たない。
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