壊れそうなほど。
「とりあえず合わせてみようか」

全員の準備が済んだ頃、ドラムの多田さんが声がけした。この人、なんか人造人間16号っぽい。

「優輝斗くん、何の曲ならいける?」

「あー、ぜんぶ大丈夫っす」

「ぜんぶ? 頼もしいねー」

演奏する曲名が告げられ、多田さんのスティックがカウントを取った。

佑介の、内蔵を抉るようなチョッパーから始まって、ちんちくりんのジャズテイストなピアノが軽やかに加わる。

それから、俺と多田さんが同時に参戦。あ、多田さんのスネアの音、いい。

ぶわっ、と鳥肌が立った。

正直、佑介にもらった音源を聴くまでは、大学のバンドサークルなんてお遊びだと思っていた。

でも、ぜんぜん違った。

こいつら、めちゃくちゃ上手いし、めちゃくちゃカッコイイ。
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