壊れそうなほど。
一人一人の演奏技術の高さはもちろん、全曲オリジナルというのにも驚きだ。しかも、やたらクオリティが高い。誰が作曲しているのか気になる。

狭い部室いっぱいに響く大音量。

そこに、まるで天使の羽のようにふわりと、でもどの音にも掻き消されない力強さを持って、沙奈のシュガーボイスが乗っかった。

うわ……沙奈の声、すげえ。

全身にビリビリと電気が走る。なんだこれ、めちゃくちゃ気持ちいい。ライブ本番みたい。

曲はキャッチーなサビを経て、ギターソロのパートに移った。

久しぶりの興奮を抑えきれないまま、夢中でギターをかき鳴らしていると、

「うわー! ユキ、かっこいいっ!!」

「なっ……あ!」

スピーカーから突然流れた沙奈の声に、手が滑ってピックが飛んだ。
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