壊れそうなほど。
さらに追い打ちをかけるように、外は強い雨。

「佑介、俺傘ない」

「まじ? オレこれから四限なんだよなー」

靴紐を結びながら、佑介が申し訳なさそうな顔を向けた。サイアク。

「あ! わたし折りたたみ持ってるよ」

俺の足元、ねずみ色の絨毯にぺたんと座って、例のノートに何やら書き込んでいた沙奈が、突然ぱっと顔を上げて言った。

「いつも入れっぱなんだー」

傍らの薄紫のトートバッグをあさり、ブルーの折りたたみ傘を俺に差し出す。

「はいっ」

「いや、悪いからいー」

って、何断ってんだ、俺。

「ギター濡れたら大変だよ? ……それとも、わたしと相合傘がいい?」

悪戯っぽく微笑む沙奈に、心臓が破裂しそうになった。

ダメだ、この子といたら俺、死ぬかも。




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