壊れそうなほど。
「沙奈、ムカつく」

ユキはボソリと呟いて、またペットボトルを煽り始めた。

「え、ムカつくって、なんで?」

「いやぁ、今のは沙奈が悪いだろ」

アンプの上に座っている佑介が、ため息混じりにわたしを見上げる。

「うん、沙奈さんが悪いですね!」

「はあ、沙奈ちゃん……」

シゲちゃんと多田さんまで呆れ顔だ。

「えー? あ……えっと、ユキ、ごめんね?」

状況を把握しないまま仕方なく謝れば、ユキはゴホッゴホッと盛大にむせた。

「えっ、大丈夫!?」

「コホッ……大丈夫? って沙奈のせいだし」

ユキは怒ったように顔をしかめる。

「謝んなバカ」

「えー、なんでぇ?」

「……もういー」

野良猫みたいに、ぷいっと顔を逸らす。

全く意味がわからない。
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