壊れそうなほど。
──気まずい。

わたしに怒っているなら帰ればいいのに、ユキは相変わらず目の前に座っていて、頬杖をついたまま窓の外に視線を投げている。

かと言って、怒らせた張本人のわたしが「じゃあ帰ります」というワケにもいかない。それに、ユキにそっぽ向かれたままなのは、なんか嫌だ。

「……ねえ、ユキー」

恐る恐る声をかけてみる。

「なに」

「なんで怒ってるの?」

「怒ってないし」

ボソボソと答えは返ってくるものの、こちらに1ミリも視線をやろうとはしない。

「え、怒ってるじゃん」

「だから別に怒ってないし」

「じゃあ、なんで機嫌悪いの?」

「なんでって」

ユキが急にこちらを向くから、心臓がぴょんと小さく跳ねた。
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