壊れそうなほど。
ユキは照れ屋なのか、たまにこんな風に赤くなったりする。でも、そういう時、いつもなら慌てて顔を背けるのに。

今は赤い顔のまま、頑なに視線を外そうとしない。

真っ黒な目がわたしをじっと見つめる。

心臓が暴れ狂って苦しい。呼吸が止まりそう。

なのに視線を逸らせない。……逸らしたくない。

「あ、もしかしてさ!」

全部気のせいにしたくて、わたしは無理やり声を絞り出す。

「わたしに佑介取られちゃってるみたいで、寂しいんでしょー」

「違うし」

ユキはまた、ふてくされたような顔をした。

「じゃあ……なんで、ヤキモチ?」

……あ、やばい。こんなこと、訊いちゃダメなのに。なんでわたしは。

「自分で考えてよ」

ユキはボソリと言って立ち上がった。

「またね、沙奈」
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