壊れそうなほど。
やがて、注文していたつまみやお寿司がテーブルに並んだ。それらを堪能していたら、目の前の啓吾がふと食事の手を止めた。

「沙奈、大事な話がある」

いつもはえびす様みたいな細い弧を描く彼の目が、まっすぐにわたしを捉えた。

「……なに?」

いつになく真剣な眼差しに、わたしも手を止めて、少しだけ緊張しながら聞き返す。

「いっそのこと、永久就職しないか?」

「え?」

えいきゅうしゅうしょく?

一瞬、彼の言葉の意味がわからず、わたしは目をぱちくりさせた。

「だから……沙奈の卒業と同時に、おれ達、結婚しないか?」

きちんと言葉にされてようやく、自分がプロポーズされたことを理解した。

「……結婚? 」

わたしが、啓吾と?
< 4 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop