壊れそうなほど。
「沙奈、なに食べたい?」

「んー、じゃあ……パスタ」

「了解。国道沿いのあそこでいいよな」

車は右折して住宅街の坂道を下り、平日でさほど混んでいない国道に出た。

「そういえば、沙奈、準備終わった? 明日からだよな? 大学祭」

「うん、さっき食堂に機材運びこんだからだいたい終わり。あとよろって帰ってきちゃった」

「あはは。まあ、あとは暗幕張ったりとか配線したり音響整えたりだもんな。沙奈は役に立たないか」

「ひどい。暗幕くらい張れるもん」

わたしが右頬を膨らませると、そこにぷすっと啓吾の指がささり、空気が抜けた。

「はは、そんなちっちゃいのに届くの? ……あ、先にガソリン入れていい?」

「いいよー」

わたし達を乗せたチェイサーは、すぐ先にあるガソリンスタンドへと進入した。
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