壊れそうなほど。
咄嗟に顔を逸らし、そしてまた、横目でちらりと確認する。やっぱり何度見てもユキだ。どうやらここで働いているらしい。

うわ、どうしよ……。

ユキとは一昨日練習で会ったが、つい先日の件が気まずくて、話どころかろくに目も合わせられなかった。

気まずい? いや、恥ずかしい?

だって、ユキがヤキモチなんて焼くから。その意味を考えれば考えるほど、どうしていいかわからなくなる。

本当はユキと話したいのに……。

「沙奈、どうかした?」

啓吾の声がして、心臓が驚くほど跳ねた。

「……えと、窓に虫! でももういなくなった」

適当に答えながら、体ごと啓吾の方を向き、窓に思いきり背を向ける。

ユキに見つかりたくないのは、顔を合わせるのが気まずいから?

……それとも。

啓吾と一緒、だから?
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