壊れそうなほど。
中に入るなり、生ライブの爆音が耳を裂いた。

ライブ会場は、食堂を半分仕切って、そこにステージと客席を作ってある。客席やたら近い。

暗幕で暗い会場に安っぽい照明。雰囲気あっていい。床にダンボールを敷き詰めてるのは、傷つけないためか?

観客はそこそこいて、でも椅子に座ってお行儀よく聴いている。ノリいい曲なのに変なの。

流行りのロックバンドのコピー。演奏は正直上手くない。

観客席の背後にはPA。音響なかなかうまいなあと思いながら、その後ろを抜けていく。

暗幕の隙間から、食堂の残り半分のスペースへと進む。そこが控え室だと聞いていたからだ。

「おーユッキー。ヨユーで間に合ったじゃん」

ベースを抱えてもう準備万端の佑介が、俺に声をかけた。
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