壊れそうなほど。
隣から聴こえていた爆音が止んで、天井からのびるでかいアコーディオンカーテンの端から、さっき演奏していたやつらが出てきた。次は俺達の番だ。

暗幕をくぐってステージに上がる。アンプに繋いで準備をしていたら、入口から観客がぞろぞろ入ってきた。あっという間に満席どころか、立ち見が何人もいる。

「なんでこんな客多いの?」

俺の真後ろにいるちんちくりんに訊くと、

「うちのバンドのファンです。すごいでしょ」

と得意げな顔で返してきた。確かに、ここまでクオリティが高ければファンもつくだろう。納得。

「あ、半分くらい沙奈さんのファンですよ」

「沙奈の?」

「ライバル多くて大変ですねー、がんば!」

「うざ」

なんて言ってたら、「そろそろ行くよー」と多田さんから声がかかった。
< 50 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop