壊れそうなほど。
M研は食堂でのライブの他に、模擬店も出店しているらしい。

「今年は油そばなんだよ」

「へえ。俺、油そば好き」

「そうなの? じゃあ食べよっか」

目の前の広場に出ているテントで、300円という驚きの安さのそれを購入した。でも、サークルの人間からも金を取るのは結構シビアだ。

てっきり控え室で食べるのかと思ったら、沙奈が「あっち行こ」と広場の奥に進んだ。発砲スチロールのお椀と割りばしを持って、俺も沙奈のあとをついていく。

食堂の裏手にある非常口前の小さな石段に、沙奈は腰を下ろした。

「ここで食べよ」

え、狭っ!

隣に座ったらめちゃくちゃ近い、てか足とか当たりそうなんだけどいいの?

とか動揺しながら隣に座ってみたら、意外と広くてちょっとガッカリした。
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