壊れそうなほど。
「ふーん」

他の質問なら、なんて無意味だ。もっとストレートに訊かれるだけなのに。

沙奈は俺にどうしてほしいの?

「じゃあ、俺のことどう思ってんの?」

「……どうって?」

質問の意味をわかってるくせに、わざわざ聞き返してくる。

ねえ、捕まえてほしいの? それとも逃げたいの?

わけわかんない。

「じゃあ、もっとわかりやすく訊く」

「……なに?」

「俺のこと好きなの?」

沙奈の目が、大きく見開いた。

「……そんなの、答えられないよ」

また逃げる。なんなの?

「なにそれ、ムリだから」

「だって、わたし……」

なにその、今にも泣きそうな顔。

「わたし、彼氏いる……」
< 57 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop