壊れそうなほど。
(6)
ユキ、わたしね。結婚するんだ。
……結婚? ………彼氏と?
うん。婚約、してるの。
……いつ、結婚するの?
卒業したらすぐだから、あと1年ちょっと。
…………。
だからね。わたし、ユキと一緒にいちゃダメなの。でも……。
でも、なに?
一緒に、いたい。……ごめん、わたしずるい。
沙奈。
……なに?
それでもいいよ。ずるくてもなんでもいい。
…………。
俺の時間なんてくれてやるから。
ユキ……。
だから……沙奈も、残りの時間、俺に全部ちょうだい。
一緒にいられるならそれだけでいいと思ってた。
俺はなんにもわかってなかったんだ。
気が狂いそうなほどの嫉妬も。
心が壊れそうなほどの独占欲も。
俺と沙奈が『違う』人間だってことも───。