壊れそうなほど。
これからいよいよ野外ステージだ。
外に出たらすっかり日が暮れていた。模擬店はもうどこも閉店していて、片付けを始めている。でも通りにはまだ人がたくさんいて、みんな俺達と同じ方向に歩いていく。
沙奈になぜか前髪をちょんまげにされたから、冷たい風で額が寒い。額が寒いってなに。
「 ……デコ寒っ」
「てかお前、なんでちょんまげしてんの?」
隣を歩く佑介が、面白そうに俺の顔を覗き込む。
「沙奈にやられた」
答えながら、少し前を歩く沙奈の後ろ姿に目をやった。
ダボダボの黒いパーカーの背中で、長い髪の毛がゆらゆら揺れている。いつの間にやったのか、てっぺんをぴょんと結んでいた。
ちょんまげだ、あれ。俺とお揃いにしたの? なにそれやばい、かわいい。