壊れそうなほど。
「……つーかお前、平気なの?」
佑介が急に心配そうな顔を向けた。コイツまじでいいやつだ。
でも、俺の一存で話すワケにもいかない。良心が傷む。隠しごとって、意外としんどいな。
「沙奈? もう興味ない。男いるとかやだし」
「……そっか。じゃあ、もうミスんなよ!」
佑介は笑って、俺の背中を引っぱたいた。
「わかってるし」
うん、これでいい。大丈夫。俺は沙奈がいれば大丈夫。
正門前の広場に着いたら、途端に明るくなった。ステージのライトが、眩い光を放っている。観客めちゃくちゃ多い。ワクワクする。
ステージに上がったら、観客席に座る新川啓吾を見つけた。
やっぱイラッとはするけど、まあ大丈夫。だって、今夜も沙奈は俺のものだし。
そうやって、ずっと余裕ぶっこいて笑ってなよ。