壊れそうなほど。

「じゃ、やりますか」

多田さんから声がかかった。

みんなが所定の位置についたら、全ての照明がフッと落ちた。

──しーんと静まり返る広場。

多田さんのスティックがカウントを取る。

佑介の地を這うようなベースと、多田さんの疾走する16ビート。

続いて、シゲちゃんの叩くようなピアノ。

ギュイーン!

ユキのギターが高いうねりを上げ、クラッシュシンバルが鳴り響いた瞬間。

パッとステージがまばゆくライトアップした。

大気が震える。ぶわっと鳥肌が立つ。

高揚感を抑えきれないまま、わたしはマイクを握りしめて歌い始める。

わたしの歌声は、ステージの両脇にある大きなスピーカーから、夜空に向かってぐわーんと大きく響き渡った。

なにこれ気持ちいい。たまんない。
< 94 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop