壊れそうなほど。

「てわけで、そこのちょんまげくんが助っ人に来てくれてます」

「いや、ユッキーもう正式メンバーだから」

ユキに目をやると、コクコクと首を縦に振ってちょんまげが揺れた。可愛い。

「え、初耳ー。わたし仲間はずれかな」

わたしはまた前に向き直った。観客席の真ん中辺りに、啓吾が座って笑っているのが見える。

「んじゃ、このまま最後までよろしく!」

佑介の声で3曲目が始まった。夏のお祭りみたいな、賑やかなのに少し切ない和テイストの曲。

太鼓ばやしを彷彿とさせる多田さんのスネアに合わせ、わたしは頭をシェイクする。てっぺんで結った髪が揺れる。

お揃いみたいなちょんまげを揺らすわたし達を見て、啓吾は何か思うのだろうか。


……いっそ、気づいてくれたらいい。

やっぱりわたし、ずるくて最低。
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