君と近づく春
今回も楽勝か、そう思われた時だった。
観客も、チームメイトも相手チームも全員が私たちのクラスの勝ちを確信できる15点差という大差。
多分、私も油断していた。
「茉莉、こっち!」
「凛!」
これまでにないくらいに私が好きな高さ、ネットから近めのこの距離感、そして相手のブロックは一枚だけ。
私は踏み切って、しっかりボールにミートした。
そして相手のコートに突き刺さる、その時
「いっ……!」
前でブロックを跳んでいた経験者の女子生徒の足を、踏んだ。
元々捻挫したことのある左足首は、捻挫しやすい。
そう思ってももう遅くて、私は足を捻った。