君と近づく春
マグレか何なのかは分からないが、スパイクは上がったらしい。
カバーはできなくて、こちらの得点になった。
「ナイス、凛! 今のトス自分で言うのもなんだけど、上出来じゃなかった?」
茉莉が駆け寄ってくるのが見える。
あぁ、表情豊かじゃなくて良かった。
私は初めてそう思った。
私より小さい茉莉の頭をクシャクシャ撫ぜれば、嬉しそうに元の位置に帰っていった。
足はズキズキするが、このセットもあと2点。
痛みに強い自信は十分にあった。