私たちの六年目
俺のこうした態度に、お父さんはもう何も言わなかった。
逆に、言い過ぎたと謝られてしまった。
大切な一人娘が結婚するとなると、どんな父親だって相手の男がちょっぴり憎らしいはずだから。
言いたかったことが言えて、もう気が済んだのかもしれない。
だけど、俺の心が晴れることはなかった。
だって……。
俺と梨華は結婚するけど。
梨華を妊娠させたのは俺じゃない。
俺と梨華はまだ抱き合うどころか、キスさえもしていない。
それなのに、妊娠させたことを謝罪しないといけないなんて。
もちろん、わかっている。
梨華にプロポーズするということは、こういうことも含まれるのだということを。
だけど……。
俺のせいではないことで頭を下げないといけないのは、やっぱりつらい。
そんな気分だったから、最後のデザートはとてもじゃないけど喉を通らなかった。
「ちょっとすみません。お手洗いに行って来ます」
そう言うと俺は、ここに来て初めて席を立った。
それまでなんとか笑顔を保って来たけれど、もう限界だった。
トイレに入り鏡の前に立つと、憂いたような顔をした自分の顔が映っていた。
深呼吸をして、どうにか気持ちを落ち着かせてみるけど。
さっきお父さんに言われた言葉が頭の中で何度もリピートして、離れてくれそうになかった。
逆に、言い過ぎたと謝られてしまった。
大切な一人娘が結婚するとなると、どんな父親だって相手の男がちょっぴり憎らしいはずだから。
言いたかったことが言えて、もう気が済んだのかもしれない。
だけど、俺の心が晴れることはなかった。
だって……。
俺と梨華は結婚するけど。
梨華を妊娠させたのは俺じゃない。
俺と梨華はまだ抱き合うどころか、キスさえもしていない。
それなのに、妊娠させたことを謝罪しないといけないなんて。
もちろん、わかっている。
梨華にプロポーズするということは、こういうことも含まれるのだということを。
だけど……。
俺のせいではないことで頭を下げないといけないのは、やっぱりつらい。
そんな気分だったから、最後のデザートはとてもじゃないけど喉を通らなかった。
「ちょっとすみません。お手洗いに行って来ます」
そう言うと俺は、ここに来て初めて席を立った。
それまでなんとか笑顔を保って来たけれど、もう限界だった。
トイレに入り鏡の前に立つと、憂いたような顔をした自分の顔が映っていた。
深呼吸をして、どうにか気持ちを落ち着かせてみるけど。
さっきお父さんに言われた言葉が頭の中で何度もリピートして、離れてくれそうになかった。