私たちの六年目
「またLINEだわ」


それは、飲み始めて30分が過ぎた頃だった。


郁未がスマホを手にして言った。


「ん? 誰から?」


ビールを口にしながら守が尋ねた。


「梨華からよ。

あの子、最近LINEの頻度がすごいの」


梨華は俺に対してもLINEがかなり多いけど、郁未にも多いのか?


「梨華は、なんて?」


梨華が郁未にどんな内容のLINEを送っているのか、それはやっぱり気になる。


「んー? みんなで何話してるの?とか。

秀哉はどうしてる?とか」


「なんだ、それ? しょーもな」


守は呆れ顔だ。


「これくらいならまだマシで、いつもは色んなことを聞かれるのよ。

つわりの時はどうすれば楽になるの?とか。

良い産婦人科を知らないかーとか。

今のところはすごく混むし、女医さんが少し怖いから、もっと優しい先生のところがいいとかね。

完全に質問をする相手を間違ってるわよ。

あたしは経験者じゃないってのー」


そう言って、郁未はスマホを伏せた。


「ごめんな、郁未。

俺が男で無知だから、それで同性の郁未に色々と聞いてしまうんだと思う」


それは、申し訳なかったな。


今度から、俺が調べよう……。

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