私たちの六年目
その時、歩行者信号が赤になって、私は足を止めた。
車が目の前を通り過ぎるたびに、クセのある私の前髪がユラユラと揺れる。
「いるんですね」
「どうして? 何も言ってないじゃない」
「何も言わないからですよ。
否定しないから、そうなのかなって。
誰ですか?
同じ会社にいますか?」
私は前方を見たまま、ううんと首を横に振った。
「取引先の人? それとも業者さん?」
「崎田君、もうやめない? そんな話」
早く青になればいいのに。
この信号、やけに長くない?
少しイライラしていたら、ようやく車両用の信号が黄色になって。
あぁ、これでやっと前に進めると思ったその時。
「もしかして……。
毎週会ってる大学時代の友達ですか……?」
崎田君が、少し低い声で言った。
青になる歩行者信号。
周りにいた人達は歩き始めているのに、私達はその場に立ち尽くしていた。
「そうなんですね?」
崎田君の言葉に、私はどうしようもなく指に力が入っていた。
何よ……。
何なのよ。
なんで、そんなことを言われないといけないの?
「崎田君には関係ない!」
そう言い捨てると、私は崎田君の顔を一切見ないでその場から走り出した。
車が目の前を通り過ぎるたびに、クセのある私の前髪がユラユラと揺れる。
「いるんですね」
「どうして? 何も言ってないじゃない」
「何も言わないからですよ。
否定しないから、そうなのかなって。
誰ですか?
同じ会社にいますか?」
私は前方を見たまま、ううんと首を横に振った。
「取引先の人? それとも業者さん?」
「崎田君、もうやめない? そんな話」
早く青になればいいのに。
この信号、やけに長くない?
少しイライラしていたら、ようやく車両用の信号が黄色になって。
あぁ、これでやっと前に進めると思ったその時。
「もしかして……。
毎週会ってる大学時代の友達ですか……?」
崎田君が、少し低い声で言った。
青になる歩行者信号。
周りにいた人達は歩き始めているのに、私達はその場に立ち尽くしていた。
「そうなんですね?」
崎田君の言葉に、私はどうしようもなく指に力が入っていた。
何よ……。
何なのよ。
なんで、そんなことを言われないといけないの?
「崎田君には関係ない!」
そう言い捨てると、私は崎田君の顔を一切見ないでその場から走り出した。