私たちの六年目
「菜穂、少しだけ待って……。

俺、絶対に梨華を説得するから。

そうしたら菜穂に、正式に付き合ってって言いに来るから……」


真面目な秀哉に、思わずクスッと笑ってしまった。


でも、すごく嬉しい……。


「うん、待ってる。

信じて待ってるから……」


私の言葉にを聞いた秀哉が、私をさらに強く抱きしめる。


私も秀哉の背中に両手を回した。


しばらくそうやってぎゅうぎゅうと抱きしめ合っていたけど、時間が気になった私は秀哉の背中をトントンと撫でた。


「秀哉、疲れたでしょう?

そろそろ寝る?」


「ん? うん……」


「秀哉、ベッド使っていいよ。

私、こっちで寝るから」


そう言って離れようとしたら、秀哉にガシッと抱き寄せられた。


「バカ。菜穂こそ仕事で疲れてるんだから、菜穂がベッドを使って」


「え、でも……。

秀哉は明日仕事でしょう?

床で寝たら疲れるよ?」


ここには、クッションくらいしかないし。


カーペットの上じゃ、腰を痛めるかもしれない。


私の言葉に、少しの間考え込む秀哉。


そして、静かに口を開いた。


「だったら、菜穂……。


一緒に寝る……?」
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