私たちの六年目
「梨華……。

それが梨華の本当の気持ちなら。

俺と結婚するのは間違ってるよ……」


俺のことは好きじゃないって、完全に認めたようなものだから。


「だから、もう結婚なんてやめよう」


一度こうなってしまった以上、複雑ではあるけれど。


一人の友人として、今後も接していくことは可能だから。


俺の言葉に、ムクッと上半身を起こす梨華。


頬は涙で濡れていたけれど、その瞳は怒りに満ちていて。


俺はそれが不思議で首を傾げた。


「何言ってるの?

篤弘への未練と、秀哉との結婚は関係ない。

結婚は、絶対にやめないわよ」


「え……?」


どういうこと?


「昨日も話したじゃない。

私はね、秀哉にプロポーズされなければ、子供を産む決心なんてしなかったの。

お腹だってもう大きくなって来てる。

それを今さら赤ちゃんとさよならするなんて、そんな残酷なこと出来るわけないじゃない」


「俺は別に、赤ちゃんとさよならしろなんて言ってない」


「じゃあ、私に一人で産めって言うの?

どうやって養っていくのよ。

仕事も何もないのに」


「それは梨華が勝手に仕事を辞めるから」


「秀哉がプロポーズなんかするからじゃない!」


まずい……。


話がふりだしに戻ってる。


どうすればいいんだ……。
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