私たちの六年目
停滞



「はー、スッキリした」


久しぶりの休日。


掃除と洗濯を済ませると、私はベッドに腰を下ろしてのんびりと寛いでいた。


ふと布団に目をやる。


指先でそっと触れたら、トクンと心臓が鳴った。


昨日、ここに秀哉が寝ていたなんて……。


なんだか夢みたい。


でもついさっき、秀哉の下着と靴下を洗って干したから。


やっぱりこれは現実なんだよね……。


昨夜、イベント会場に現れた秀哉。


突然抱きしめられたかと思ったら、キスしていいかって聞かれて本当に驚いた。


そして、まさかの告白。


5年以上に渡る私の片想いがようやく実を結んで、涙が出るほど嬉しかった。


だけど、問題はこれからだ。


秀哉、梨華に自分の思いを告げることが出来たかな。


帰り際の秀哉は、ひどく不安そうだったけど。


そんなことを思っていたタイミングで、なんと秀哉からの着信が入った。


決着がついたのか、それともうまく説得できなかったのか。


ドキドキしながら電話を取ると、秀哉の口から出たのは意外な言葉で。


私はバッグを手にすると、秀哉が指定した住所へと急いだ。
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