私たちの六年目
私の言葉に、ため息をつく秀哉。


「俺は梨華の両親を呼びたいんだけど、梨華がそれをすごく嫌がるんだ。

ご両親を呼べば、俺が正直に全部話してしまうと思って……」


「でも、そうするしかないよね。

全てを明らかにするしか……」


梨華が一体誰と付き合ってこうなったのか。


それを言わなきゃ、秀哉と梨華は別れることが出来ない……。


「だけど、医者に聞かれたんだ。

ここ数日、梨華が無理をしなかったかって……。

それで梨華が言ったんだ。

俺の帰りが遅いから、夜中じゅう起きて俺を待ってたって。

イライラして部屋中を歩き回って、気が狂いそうだったって。

医者が言うには、そういうのが一番良くないらしいんだ。

つまり、梨華が入院したのは……。

俺が菜穂に会いに行って、菜穂のところへ泊まったせいでもあるんだ……」
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