私たちの六年目
その意味は?
「はい、それでは当日よろしくお願いします。
失礼致します」
今週土曜のイベントの担当者さんとの電話を終えると、私はカチャンと受話器を置いた。
「えっと、とりあえずこれで準備は整ったよね。
あとは当日現場で荷物が届くのを待って、それから……」
スケジュール帳にメモをしながら、ブツブツとひとり言を言っていたその時。
「菜穂先輩、確認をお願いします」
そう言って崎田君が、私のデスクに伝票を置いた。
「商品名も数量も間違いないわ。
これで発注しておいて」
「はい」
顔も見ないで伝票を返すと、崎田君はそのまま自分のデスクへと戻っていった。
「ちょっと、菜穂」
キャスター付きの椅子に乗ったまま、私の方に移動して来る同期のアキ。
「あんたと崎田君って、ケンカでもしてるの?
ここ数日、仕事以外で全然話さないじゃない。
何かあったの?」
「別に何もないよ。忙しいから、無駄話をしている暇がないだけ」
「ふぅん……。それならいいけど」
崎田君にキスをされて以来、彼とはまともに話をしていない。
別に自分が被害者だとは思わないけど。
あのキスは、気分の良いものではなかったから……。
失礼致します」
今週土曜のイベントの担当者さんとの電話を終えると、私はカチャンと受話器を置いた。
「えっと、とりあえずこれで準備は整ったよね。
あとは当日現場で荷物が届くのを待って、それから……」
スケジュール帳にメモをしながら、ブツブツとひとり言を言っていたその時。
「菜穂先輩、確認をお願いします」
そう言って崎田君が、私のデスクに伝票を置いた。
「商品名も数量も間違いないわ。
これで発注しておいて」
「はい」
顔も見ないで伝票を返すと、崎田君はそのまま自分のデスクへと戻っていった。
「ちょっと、菜穂」
キャスター付きの椅子に乗ったまま、私の方に移動して来る同期のアキ。
「あんたと崎田君って、ケンカでもしてるの?
ここ数日、仕事以外で全然話さないじゃない。
何かあったの?」
「別に何もないよ。忙しいから、無駄話をしている暇がないだけ」
「ふぅん……。それならいいけど」
崎田君にキスをされて以来、彼とはまともに話をしていない。
別に自分が被害者だとは思わないけど。
あのキスは、気分の良いものではなかったから……。