私たちの六年目
梨華の言葉に、静まり返る私達。


既婚者って、つまり……。


梨華は、不倫してるの……?


「ごめんね、みんなに黙ってて……。

軽蔑されるかなって思って、怖くて言えなかったの……」


「うーん……。まぁ、あたしは別にどうこう言うつもりはないよ?

梨華が、ちゃんと割り切ってるならね」


郁未が、淡々とした口調で言った。


「それなら大丈夫。私、彼に奥さんと別れて欲しいなんて思ってないから」


梨華の言葉に、首を傾げる守。


「え、どういうこと? 

オレにはよく意味がわかんないんだけど。

つまり、二番目でもいいってこと?」


「うん……」


「はぁ? なんで?

お前ならその気になれば、いくらでも独身のイイ男をつかまえられるだろう?

なんでよりによって既婚者?」


「守の言う通りだよ。どうして梨華がそんな恋愛しないといけないのよ」


私も思わず口を出した。


大学入学当時から、すごくモテていた梨華。


美人だけど、全然気取ってなくて話しやすいし。


そのくせどこか儚げで、守ってあげたくなるような雰囲気は、女の私でもドキッとする時があるから、男の人ならなおさらだ。


それは、私の隣の席に座っている男も例外ではなかった。
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