もし願いが叶うなら
競技が始まり、プールへ飛び込んだ。胸の痛みも忘れるくらい、必死で泳いだ。

やがて、私がトップになった。あと少しでゴールする。そんなとき突然、

激しく胸が痛みだした。これまでとは比にならないくらいの痛みだった。

急にバランスを崩した私は、水を飲んでしまい、溺れた。

意識を手放し、プールの底に沈んでいく感覚が分かった。


目を覚ますと、最初に飛び込んできたのは、たった一人の家族の兄・宏(コウ)だった。

こちらに背を向けて、誰かと話し込んでいる。
< 7 / 14 >

この作品をシェア

pagetop