先生は殺人鬼。
第一章

手紙

《続いてのニュースです。

東京都〇〇市で女性の遺体が発見されました。
警察は最近起きた3件の殺人事件と同様の手口から、犯人が同一人物だとしています──》


その日は何ヶ月かぶりのどしゃ降りだった。
夜中から降り続く雨で、外は朝になったのにも関わらず薄暗く、道路はもはや巨大な水たまりと化している。

そんな中外出しようと思う人の姿はもちろんなく、いつもなら車やバイクで少し騒がしいほどなのに騒音は一切聞こえない。

この世の全ての音を、雨がかき消しているようだった。


そんな日に重なる、殺人事件。
テレビに映るのは、どこのチャンネルも同じものばかりだった。



「つまんないの」



2週間前から起こっている殺人事件。
今日で四人目だ。

高校生から20代の若い男女ばかりを狙った犯行は、手がかりを一切残さない完璧な殺人。

不謹慎ながら、警察をここまで翻弄するのは素直に凄いと思う。

ただ唯一、この事件で発見される遺体には共通点があった。

それは、近くに手紙が置かれてあること。
殺人予告の内容で、封筒には差出人名が無く、ただ手紙の1番最後に"ザクロ"と書かれているらしい。


ネット社会。情報が回ってくるのは早い。

SNSを開けば毎日新しい情報が更新され続けているこのご時世で、もはや警察やマスコミが隠している事でさえ筒抜けになることもある。


現に、ニュースなんてめったに見ないいち女子高生の私でさえ、
SNSで拡散されている情報だけでこれだけの知識を得ている。


兎にも角にも、今回の連続殺人は世間が大注目してる事件なのである。



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