初恋
「なあ、江川~」

「なんだよ、俺今本読んでんの、見えない?お前の目は節穴か??」

「話があるから呼んでんだよ」




前の席の人と隣の席の人で会話が繰り広げられている間、私は壁を見つめてぼーっとしていた。
左斜め前は沙耶の席だけど、沙耶は他の友達の所に行っていて不在だったから、こうする他ないのだ。





「なあ、」


「なあ、おーい」


「ねえねえ」


「聞いてんの?」


「おい」




前の席の人の声がひっきりなしに聞こえてくる。
きっと、私の隣の席の人にでも話しかけているんだろうと無視していると




「おい、内本」



.
.
.




『……………え、わたし?』


「ぼーっとしすぎ。お前、前回の期末何位??」





初めて顔を見た。
ああ、整った顔をしているなあって思った。

それが、あいつとの出会いだった。


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