【完】好きよりもキスよりも…

「ね、しんじょー?もうすぐ降りられるから、そしたらすぐ部屋に帰ろうね?」


少しだけ濡れてしまった新條の髪を撫でながらそう言うとコクンと頷いてくれる。
なんだろう…ほんといつにも増して可愛くて…。
我儘で女王様な朱莉サンもすっごい可愛いけどね。
オレ的には、いつもこんなに素直だと、余計な嫉妬とかしないで済むのになぁ…なんて。
まぁ、オレが嫉妬してるって新條が知ると、期間限定でもしばらく朱莉サンからの「好き好き」週間になるから、それはそれでいいんだけども…。


そしてオレは、緩みっぱなしの顔を引き締めるのと同じに、新條を抱き締めてる手に力を込めて。
最初の乗り場に戻るまで、寄り添ったまま話をしていた。
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