【完】好きよりもキスよりも…
そんなことを考えてると、不意に新條がこっちを振り向いた。


「あやちゃん!何ボォーッとしてんの!?」


その眩しいくらいの微笑みに、ほんの少しだけ意地悪がしたくなって。


「あんまり、オレ以外見て欲しくないかなぁ…なんて思ってマス…」


茶化したようにそう言ったつもりなのに、顔に「めっちゃ本音」とでも書いてあったのか、新條が驚いたような顔をしてオレを見た。
でも、すぐに真っ赤になってオレの傍に寄ってきて。


「ばか。真っ直ぐ見てなくたって、いっつもあやちゃんはあたしの視界に入ってんだってば!見くびんないで!」


声のトーンを落としてオレだけに聞こえるようにそう言うと、恥ずかしくて居たたまれなくなったみたいで、モジモジと下を向いてしまった。
そんな新條の様子を見るだけで、全部チャラにできちゃうオレって、かなりお手頃かもね?
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