【完】好きよりもキスよりも…
かぽーん。
そんな音と一緒に湯気の舞う浴場。
男女共にそこにはまだ誰もいないみたいだった。
とりあえず、新條に「脱衣所では大きめのタオルを使うんだよ?」と言って渡したら、凄い勢いで「なんで?」攻撃をされたから、
「新條の裸、誰にも見せたくないから」
って本当のことを返したら、しばらく真っ赤になってパクパクしてた新條が、オレにも同じサイズのタオルを投げつけてきた。なんとなく新條の意図が分かったから、オレは何も言わずにそれを持った。
「わー!!でっかーい!すっごーい!ひっろーい!かっっこいー!」
浴場に入るなり、そんな小学生みたいな感想を口にしてる新條に微笑みつつ。
オレは適当な場所を見つける…とは言っても、多分新條がいるであろう方の壁に、背を置いて新條へと声を掛けた。
「しーんじょー?そこにいるー?」
「んー…きっもちいいー!あやちゃん、そっち一人ー?」
「一人だよ…しーんじょーの方は?」
「一人〜…はぁ…本気で気持ちいい…」
そんなに、色っぽい声で言われるとねぇ…。
なんとも言えないんだけども、ね?
多分、本人は無意識。
なんでこんなに可愛いかねぇ?