【完】好きよりもキスよりも…
「んもーーーー!信じらんない!なんで勝てないわけ?!!!!ムカつくー!!」
そして、結果はもしかしなくてもオレの圧勝。
ぷぅっと頬を膨らませてラケットを握り締めてる新條の傍に近寄って。
「なんでも言うこと聞いてくれるんだっけ?」
満面の笑みを付けながらそう聞くと、
「女に二言はないわよ!」
ふて腐れながらも、頷く新條。
それに柔らかく微笑んで、きゅうっと抱きしめる。
暴れるかなぁと思った新條は全然腕の中で大人しくて、そっと顔を盗み見たら、真っ赤になってオレの背中に手を回してくれてた。
「じゃあ……部屋帰ったら……いい?」
新條の一番梳きな低い声で耳元へと囁くと、コクンと頷かれる。
その…この旅行で何度も見てきた素直さを改めて感じたら、部屋に戻るまでちょっと待てそうにもなくて。
ちゅ
掠めるようにキスをしちゃったりして。
首まで真っ赤にした新條は最初から抵抗するつもりはなかったみたいで、ぎゅっとオレのシャツを掴んでるだけ。
うーん…そんなに可愛いトコばっかり見せられちゃうと…抑えきかなそう、なんだけどなぁ。
今すぐにでも崩壊しそうな理性を総動員して、足早に部屋に戻ることにする。
握ったままの新條の手にぎゅっと力を込めて…。