【完】好きよりもキスよりも…
バタン



部屋に戻るなり、締めたドアに新條を押し付けて。
奪うような荒いキスを繰り返した。


「…ちょ…あや、ちゃ……もっ…立、っらんな……ッ」


そんな悲鳴に近い声で抗議されて、砕けてしまった新條の膝の裏に手を回すと抱き上げる。
やっぱり、『新婚旅行』の醍醐味っしょ?お姫様抱っこって。
涙目になっちゃってる新條の目尻にキスをすると、首に回された手がオレの頭を引き寄せてきて。


ちう


なんて、軽く口唇を吸われちゃって。
こうやって無意識のオレのこと昂ぶらせてくれちゃう朱莉サンに、オレってば結構前からメロメロで、そっとベッドに横たえるとその上気した顔中にキスを繰り返した。


「しんじょーが、可愛すぎてヘンになりそー…」


頬に触れてくる指にもキスをしながら、そう囁くと小さな声で『ばか…』って言われる。
けど、新條もちょっと余裕の無いオレがイイらしくて、『でも、それもイイ…から…』なんて付け加えてきた。


「後で部屋のお風呂、一緒に入ろ?」


あまりにも可愛すぎて、新條が受け入れてくれてるのをいいことにそんなお願いをしてみる。
ダメって言われると思ったんだけど、すんなりとその願いは受け入れられて。
もう、その後は余裕なんてぜんっぜん無い状態。
…オレも若いなぁーなんて、ね。
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