【完】好きよりもキスよりも…
「随分とムーディーな曲だぁね?しんじょー?」
新條に、『責任取って傍に居てよ』なんて言われて、横になってる新條の腰の辺りに座って新聞を読んでいたオレが新條の方を向くと。
「あら…まぁ…」
すぅーっと穏やかな寝息が聞こえてきて、猫のような可愛らしい瞳は閉じられていた。
疲れさせちゃったかなぁなんて、額にかかった髪を払ってやりながら反省する。
だけど、あんなに可愛い新條も悪いんだよ?
…なんて、ね。
こんなの本人に言ったら折角の上機嫌が急降下しちゃうだろうから、言わないけど。
「……ん。………あやちゃ……」
髪を払った後にそっと撫でていたら、新條が少しだけ身じろいでオレの名前を呼んだ。
それに、「ん?」とだけ返すと返事はもう無くて…。
寝ているのにオレのことを呼んでくれたってだけで、こんなにも満たされてしまう自分。
そんな自分に苦笑する。