平凡ガールと双子アイドル~白と青の王子~
秘密の場所*3
「秘密の場所」というのは、私たちが住む町から少しだけ離れた場所にある丘の上のこと。
昔、方向音痴な私が道に迷って見つけた場所で、ここの存在は沙紀にさえ言っていない。
丘の上からは広い海が見える。海風が気持ちよくて、緑の空気も心地いい。
それに、夜は天気がいいと空にいくつもの星が見えるのだ。誰もいない静かな空間で、月光だけがある...。
あの空気が好きで、天気がいい日はよく通っていたりする。
『っふぅ...。あと少し!』
(つっかれた〜、この丘結構急なんだもの。体力つけなきゃなぁ)
ゆっくり息を整えながら、だんだんと見えてきた丘の頂上に向かって歩く。
ちらっと空を見ると、既に星が無数に広がっていた。
「早く頂上でこの景色をみたい」という気持ちがどんどん膨らみ、進むスピードを上げた。
『っよし、着いた!』
やっとのおもいで辿り着き、1番星が綺麗に見える場所を探...そうとした。
(あれ...。誰か、人がいる?)
暗くてハッキリとは見えないが、少し先にひとつの人影らしきものが見えた。
私の他にもここを知る人がいたのかと、少しだけ残念に思いながらも、この気持ちを誰かと共有したいと少し考えた。
(...少しだけ、近づいてみようかな。怪しい人だったら残念だけどすぐ帰ろう。うん、そうしよう)
考えをまとめると、ゆっくりとその人影に近づいた。